「3人の居所」感想的な


1つ前で「レストラン デザート」の話を書いたのだけど。
初のオフィシャルブック「3人の居所」の感想も。

・・・これがねぇ・・・。
正直、予想とはぜんぜん違った。びっくりした。
いや、ツアーを巡る中でのフォトブックに近い出来だと思っていたのですよ。
で、実際にそういう側面もあるにはある。

でも・・・
今回のホールツアー/ライブハウスツアーにおいて、かなり赤裸々な話が満載。
クミコンが膝の故障を抱えてツアーを回っていたこと。
そして、その状態は「ライブハウスツアーを飛ばすか?」というレベルの協議がされるほど悪かった、ということ。
アッコちゃんも腱鞘炎に苦しんでいたし、ライブ前後に頭を抱えて考え込んでしまうほどライブについて悩んでいたということ。
えっちゃんはクミコンの負傷の状態を見て、負担を減らす努力をしていたということ。

・・・どれもこれも、びっくりした。
クミコンが膝にサポーターらしきものを巻いたりマッサージを受けている写真。
アッコちゃんが頭を抱えて座り込んでいる写真。
特に後者は衝撃的だった。

そして、インタビュー。
ホールツアーは3人の意思ではなく決まったということ。
まぁ、それは薄々想像はしていたけど。やはり、だった。
そんな中で「やれることはやってみた」感じでいろいろ企画を盛り込んだりしたということ。

そして・・・ライブハウスツアー。
彼女達がこれまで何度となく「自分達はライブバンド」と言ってきていたのには「ライブハウス」というのが根底にあったはず。
「自分達はやっぱりライブハウスでライブをやっていたい」というのは、直接的だったり間接的だったり、いろんな表現で聞いた。
それが・・・どうやら、何とも悩みだらけのライブハウスツアーになった模様。
「これまでの主戦場」であるライブハウスだからこそ、だったのかもしれない。
ライブハウスツアー後のインタビューで、最も大きな分量が割かれていたのは・・・「お客さん」の話だった。
と言うとちょっと語弊があるか。「お客さんは自分たちを映す鏡」というキーワードが何度か出てきたように、最終的に自分達に戻ってくる話だったりもしたし。
でも、ライブ中のマナーについて3人が悲しく思ったり「どうなのソレ」と思うことが少なからずある、と。
一番それについて喋っていたのはクミコンだったけど、年長者として言いにくいことを引き受けていたという印象。

大きいホールでのツアーを行うほどの人気が出た。
そして、それに伴う「変化」には、距離が近いライブハウスで一番気付かされた・・・ということなのかも。
残念なことだけど、ファンが増えればそれだけモラルが下がるケースは・・・少なくない。
僕はそれほどライブ経験が豊かなわけではないけど、他のバンドのライブと比べて・・・チャットモンチーのライブでは、やっぱり目立つ。野次。
そして、当人達はそれを「自分達が招いたのかもしれない」と言っている。
「優等生じゃダメなのかも」と。

今回のツアーで得たもの、そして生まれた悩み。
彼女達はそこから何を学び、どう進んでいくのか。
シングルを出せばベスト10入り。アルバムを出せば1位も狙える。
ライブは即SOLD OUT。武道館2DAYSも成功させた。フェスにでも出れば目玉的扱いだ。
そんな順風満帆の中で、悩み苦しんでいる姿。
・・・1人でも多くのファンが知っているといいな、と思う。
もちろん、ライブでのマナーとかは「あれは野次じゃなくてコミュニケーションでしょ」とか「激しくなきゃライブハウスなんてつまんないよー」とか、各自の考えはあるだろうけれども。
彼女達が、単行本というやや限られた形ではあるにせよ・・・ここまでの発言をしたという事実は受け止めるべきだと思うのだ。

今回のツアーに参加した人には、特に・・・読んでもらいたいな。

「レストラン デザート」の話は1つ前